スネークモータース

第3話

【味を引き出す隠し技】
※2019/4/15 配信

長年の経験で培われた知識と綿密な計算により、優れた操安性を誇るFrame構造の結論を見出した開発TEAMでしたが、彼らの前には次なる問題が出現しました。
その問題とは、“素材の問題”でした。
どんなに優れた設計のFrame構造であっても、Frameを構成するパイプの素材が悪ければ、最高のパフォーマンスを得ることが出来ません。
一流の料理人が、鮮度の悪い食材で料理を作っても、本当に美味しい料理を作る事が難しいのと似ています。
そこでK-16開発TEAMは、優れた運動性能を遺憾なく発揮させる為に、Frameを構成するパイプ素材の検討へと移行していきました。

K-16の製造を行う中国では、板状素材を丸く成型した後に接合する“溶接・鍛接鋼管”が一般的に用いられます。
生産性が高く大量生産に向いているこの鋼管は、厚みなどの自由度も高く、薄くて軽い比較的安価に入手できる素材としてメリットがあります。
しかしその反面、接合部の強度低下や、製造工程技術に起因する均質性のバラツキが起こりやすい素材でもあります。
大量生産で安価な製品をリリースする目的しては適している素材ですが、K-16のFrame素材としてはどうなのでしょうか?

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【一般的に流通しているストレートシーム鋼管】
鋼材生成の接合部の跡が確認できる 開発TEAMは、この部分に負荷が集中し、歪みや亀裂が生じる可能性を懸念した



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【K-16用に特注された冷間仕上継目無鋼管】
高負荷時にもしっかりと応力を受止め、しなやかな動きを実現する、継ぎ目のない引抜き鋼材 冷間仕上シームレス鋼管を採用する事で、K-16のもう一つの重要な要素を引きだしている

「リヤサスペンションの役割」を果たす為に、K-16の綿密に検討されたRigid Frameには、高負荷時にしなやかに捻じれる事で、応力を逃がす機能を持たせる必要があります。
その結果、強度の均一性を保つことが難しい溶接鋼管では、高負荷時の応力が合わせ目部分に集中し、破損や歪みなどの問題を発生させ、高い剛性を持続的に発揮する事が困難になる可能性があります。
そこでK-16のFrame素材には、成型時の継ぎ目が無く、パイプ本来の性能を発揮できる、“シームレス鋼管(引抜き鋼材)”を採用しました。
周方向の均一性に優れ、捻じれや内圧に強いという特徴を持つこの鋼管を選択する事で、「K-16の高次元の走行性能」という重要な味付けを、持続的に引き出すことが可能となるのです。

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【K-16用に特注された冷間仕上継目無鋼管】
高負荷時にもしっかりと応力を受止め、しなやかな動きを実現する、継ぎ目のない引抜き鋼材 冷間仕上シームレス鋼管を採用する事で、K-16のもう一つの重要な要素を引きだしている

使用する基本素材の選択を終えた後も、K-16の命ともいえるFrameに妥協を許されない開発TEAMは、鋼管の成型時に熱処理を行わない“冷間仕上シームレス鋼管”を採用する決断に迫られるのでした。
この鋼管は、中国のオートバイ製造現場では、一般的に使用されない為、流通量が非常に少なく、調達時間とコストが高くなってしまうという大きなデメリットがあります。
製品の生産には致命的ともいえる高コストの素材を、何故開発TEAMは採用する決断に至ったのでしょうか?
そこには、高い寸法精度と優れた表面性状を持つ、この鋼管だからこそ実現できる、K-16のもう一つの重要な要素が隠されているのでした。

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厳選された素材を選定した事で、素材のままでもその美しさが際立つK-16 Frame

第4話では、優れた機能を内包する美しさの秘密に迫ります



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