スネークモータース

第4話

【美しく包み込み仕上げる】
※2019/4/22 配信

流麗な造形美で人々の目を惹きつけるK-16。
その美しさを最大限に演出する上で欠かせない、もう一つの重要な要素が仕上の飾りつけにあります。
料理で例えるなら、匠の技術で飾り切りされ、厳選された食材を美味しく味付けし、最後にお皿に美しく盛り付けて仕上げる、「舌で味わい」「目で楽しむ」、世界に誇る和食に通じる所があるかもしれません。
蓄積された知識と現代の技術で、その味わいを最大限引き出されたノスタルジックなK-16のRigid Frameに、和食のような「目で楽しむ仕上」を施す。
これがFrame開発に課せられた最後の命題となりました。

通常、工業製品を構成するFrameパイプの末端部は、切断面が露出したままの状態や保護キャップを装着するだけで製品化されることが一般的です。
しかしK-16の場合、唯一切断面が露出してしまうメインFrameの端末部分を、接合位置より僅かに長くし、プレス成型処理を施し尖らせることで、造形の美しさを完結させています。
本来、このFrameエンド部分はシート下に位置する為、あまり目につかない箇所にあたります。
しかし、仕上がりの美しさの為に、目につかない場所であっても、専用のプレス冶具を用意するこだわりが込められているのです。

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美しい仕上げの為にひと手間加えられたFrame End
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研磨とスムージング処理は、手作業で一台一台丹念に作業が行われる

複雑な曲率で美しい円弧を描き、こだわりのひと手間が加えられたメインパイプを中心に、緻密に計算された数種類のパイプを繋ぎ合わせて完成へと近づくK-16 Frame。
しかし工業製品には、それぞれのパイプのつなぎ目に、美しさを損なう溶接面が必ず表出してしまいます。
この問題を解決する為に、目につく箇所の溶接部の盛り上がりを一度研磨し、その後パテでスムージング加工を施し仕上げる手法が採用されました。
その結果、全てのFrameを、一台一台職人の手で作業を行う必要性が生じ、効率重視の一般的な量産品のような工程で製造することが不可能となってしまいます。
当然コストは高くなってしまいますが、「目で楽しむ仕上」実現の為にはどうしても妥協することは出来なかったのです。

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高負荷時にもしっかりと応力を受止め、しなやかな動きを実現する、継ぎ目のない引抜き鋼材 冷間仕上シームレス鋼管を採用する事で、K-16のもう一つの重要な要素を引きだしている

職人の丹精込めた手仕事により組み立てられたFrameは、美しい塗装を纏うことでその完成を迎えることになります。
K-16シリーズ各車に使用される塗料は、様々な条件下での色の見え方を徹底的に検討し、特殊な配合で調合された塗料を使用しています。
その結果、K-16を目の当たりにした多くの人が、その色合いの美しさに驚かされる仕上がりへと帰結しているのです。
そして、塗料の美しさの再現性に欠かせないものが・・・
“冷間仕上シームレス鋼管”
この鋼管の、真円に近い寸法精度が色の反射を安定させ、優れた表面性状が色褪せない発色の良さを実現させます。
調達時間とコストが高くなってしまう、この鋼材を採用することの最大の理由は、「目で楽しむ仕上」の達成にあるのです。


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上:一般的に使用される熱間仕上鋼管
下:K-16に使用する冷間仕上シームレス鋼管

熱間仕上鋼管の場合、成型時に発生するスケール(酸化鉄の被膜)が表面に付着し(写真の黒く見える部分)表面性状が落ちる。
これが、塗装の仕上がりに影響を与えてしまう

「緻密に計算された設計」「厳選された素材」「目で楽しむこだわりの仕上」
これらを融合させ完成された、オートバイの原点ともいえるK-16のRigid Frame。
K-16に乗って走り出した瞬間、美しさの中に潜む荒々しいダイレクトなフィーリングを誰もが驚きとともに感じ取ることが出来るでしょう。
この面白さと共に、開発TEAMが本当に伝えたいことが、このオートバイには存在しています。

~便利さの陰で失われていくもの~

「より速く」「より遠くへ」「より安全に」
20世紀中盤以降の、飛躍的な技術革新を背景に、オートバイに求められるニーズも大きく変化していきました。
それと共に、Rigid Frameで対応できる限界が訪れ、より軽量で剛性に優れるアルミ素材のボックスフレームや、モノコックフレームなど現代のフレームへと進化していくこととなります。
リヤサスペンションにおいても飛躍的な革新があり、オートバイ自体が持つ特性により、機械(オートバイ)そのモノが、自然な車体姿勢を制御できる構造へと進化していきました。
ニーズの変化と技術の進歩により、オートバイの性能が向上し、乗り物自体が動きを制御できる便利で安全な乗り物へと進化することは素晴らしいことです。
しかし、便利である事と高性能化を求めすぎるあまり、いつしか「オートバイという乗り物の楽しさの本質」がどこかへ忘れ去られてしまっているような気がしてしまいます。

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電子制御も無くRigid Frame構造のシンプルなK-16は、細かい微振動によるネジの緩みなども発生する可能性がある為、日々のメンテナンスも重要となります。
最新技術の集大成ともいえる最新のオートバイのように、機械任せでライディングをしたり、メンテナンスフリーで扱えるようなオートバイではありません。

ただ、自分のオートバイに愛情をこめて日々のメンテナンスを実施し、路面から伝わる振動をダイレクトに感じ、意識的にコーナーを駆け抜けていく、「自分で操る楽しみ」を実感できるオートバイです。

大量生産・大量消費を目的とした画一的な製品で溢れる現代。
そして便利さを追求するあまり、機械任せになり「自分で操る」ことの楽しさや責任感が薄れているような現代。
そんな時代だからこそ、敢えて昔ながらの構造のK-16で、オートバイの楽しさの本質を感じ、その不便さの中から現代のオートバイへの進化の歴史を感じてもらいたい。
これこそが、「柔」と「剛」という相反するモノが共存する魅力的な美術品のようなオートバイ「K-16」を開発した、プロジェクトTEAMが伝えたい想いです。

(第1章 完)




【KITANO SPECIAL】
全てのプロジェクトはここから始まった!
https://www.youtube.com/watch?v=lD2ZDeDBZ5E

【ノブアツ杯2014冬耐1h】
高い走行性能の証し1:Rigidでもここまでやれる!
https://www.youtube.com/watch?v=FCL3t-UQsec

【TOKORO’S CHALLENGE CUP】
高い走行性能の証し2:ワンメイクだから面白い
https://www.youtube.com/watch?v=9aXXj9UEK6w




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※2019/4/15 配信